試食人数は、多過ぎず少な過ぎず。

1月8日。販売が難しいとされる、連休の中日(なかび)。
そこへ向け、朝から冷たい雨がざざ降りで、道行く人もまばら。
当然(?)、寄せ鍋のデモで訪れた店でも目につくのは従業員さんばかりといった様(さま)。
ああ、さんざんな1日だったわ。

売れる売れないの前に、まず試食が出ない。
そりゃそうだ。お客さんがいないんだもの。
で、試食が出ないというのは、デモンストレーター側にとって、試食が出過ぎるのと同じくらい困ったことなのだ。
特に鍋やシチュー、スープなどの汁物は煮詰まって、味が変わってしまうから、本当に難儀する。
「煮詰まりそうになったら水を足したらいいじゃない」
とおっしゃるかも知れないが、それにも限度がある。
だから、少量ずつ作り、売り場の状況を見ながら葉物の野菜や豆腐などの水気の出るものを随時足していって風味を調節するのが、私たちデモンストレーターのベーシックな対処法。
もっとも、これとてずっと続けられるわけではない。

こういう手間と気苦労に加え、退屈さが私たちを苦しめる。
声出ししてお客さんを呼び込もうにも、その肝心のお客さん自体がいないのだから、声を出すのも虚しい。
と言って、突っ立って誰も食べない鍋をかき回し続けても、やはり虚しい。
「あーあ。私、何のためにここにいるのかなあ?」
こんな思いがつのってくる。

しかし、仕事は仕事。
お客さんがいなくても、したがって試食が出なくても、その延長で担当商品が売れなくても、やることはきちんとやらないといけない。
タイクツなんて、もっての他なのだ。

写真は、この日に現場だった大阪南部の某店の近くで撮った一枚。
一日中このような情景で、それでも夕方には近所の方々が買い物に来て下さり、寒い日であったこと、白菜やキノコなどの野菜がセールだったこと、この二つにも助けられ、何とか報告書に書けるだけの販売数字をあげることが出来た。

試食人数は、多過ぎず少な過ぎず。
これが一番仕事がやりやすい。

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