前回の記事で、糖尿病を患い、医者から食べ物を制限されながらも生来の頑固さで従わず、それでも80過ぎまで生きた友人の亡父の話を紹介した。
ついで、そのことを聞いた私の脳裏の片隅に、日曜日の現場(京都府内のローカルスーパーの大試食会)で会った、あるお客さんのことが蘇ってきたことも。
くだんのあるお客さん。お見受けしたところ、30代前半の男性。ややポッチャリ体型ながら、血色もよく、髪にも声にもハリがあり、目力も満点。
そんな彼が、私が提供した、キノコの冷凍パスタを試食するや、尋ねたのだった。
「これ、塩分はどれくらい含まれていますか?」
「カロリーはいくら?」
ぶっちゃけ、男性のお客さんは、デモンストレーター歴17年目の私の体験を持ってしても、こんなことはあまり気にしないのが一般。
なのに、この人はどうして?
そんな私の疑問を先回りして察したかのように、彼は打ち明けた。
「僕、糖尿病なんです。だから、カロリーは1日千◯百カロリーに抑えられているし、塩分も糖分も脂分も自由にとっていいわけじゃないんです」。
ここまで話した彼は、フーッと息を吐き、呟くように付け足した。
「食べることが大好きな僕にとって、これは、とてもツライっス」。
ああ! わかるわあ!
続く。
写真は、一番下の孫。