報告書が書きにくい時

 昨日は、一昨日の売上が好調だったおかげで、デモンストレーション
レポート(一般に報告書、または日報といわれる)を、楽しく書き終える
ことが出来た。
 いつもいつもこうだといいのだけれど……。

 わざわざ断るまでもない。
 売上が芳しくなかった現場の報告書は書きにくい。
 仕事仲間の一人は、三年前の夏、某社の黒酢を試飲販売してわずか
一本しか売れなかったことがあったが、さすがに、この時は報告書を
前にペンが進まなかったと語る。
「売上をごまかしたりしたら却ってメーカーさんに迷惑がかかるから、
これはほんまの数字を書くとして、問題は、後の項目やね」
 彼女は、これを正直に記載してよいものかどうか、相当まよった。

「とにかく、健康酢に全く関心がないのを通り越し、拒絶反応すら抱
いているお客さんがほとんどやった。酢は身体にはいいけれどマズい
もの、こんなふうに思い込んでんねん。そこを解くのも私らの仕事で、
やからこそ、こうして試飲販売を実施する。でも、飲んでくれへん。
匂いをかいだだけで、または酢と聞いただけで、キライキライの光線
を出してくる。とりつくシマもない感じ。ここまで敬遠されて、なお
も宣伝する意味があるのか、少なくともこの店ではないのではないか。
これが、ウチの率直な感想やったね」

 とは言え、この通りに書けます、皆さん?
 
 私も、五年前の秋、滋賀県中部の店で豆乳をデモンストレーション
して彼女と似た体験をしたから、書きづらい気持ちがよくわかる。
 もっとも、私の場合は、
「お姉さん、全然売れてへんやん。はるばる京都から来てくれたのに、
気の毒なことやなあ。よし、ワシが1ケース、買うていったろ」
 と、たまたま清掃のパートに来ていたおっちゃんが「同情のまとめ
買い」をしてくれたので、売上自体はそんなにひどくなかった。
 それでも、お客様の反応は、試飲以前からすさまじくマイナス寄り
だった。

 けっきょく、表現をぼかして、真実を書いた。

 売上不振以外にも、報告書がとてつもなく書きにくい時がある。
 次回は、そのケースを紹介するね。