(注)9月17日に書いた記事。
「息子の嫁さん、味噌汁にマヨネーズ入れんねん」
初対面で、同業者ではあっても登録派遣元は別の私にそんな内輪のことを彼女が話したのは、きっと私が雑談の中で、
「どんなにしんどい時でも味噌汁を飲むと私は元気が出る」
と、明かしたからだろう。
コロナ禍で試食販売の仕事がほぼ無くなる直前の話である。
彼女が語るところによると、息子さんのお嫁さんは、なかなかの料理上手ながら、外国人なので日本人とちょっと味覚が違うのかも知れないと。
「お嫁さんが作るその味噌汁、美味しいんですか?」
私は尋ねた。
「味噌とマヨネーズは合いますから、ソースにするには頷けるんですが、汁となると、、、」
彼女は答えた。
「それが、味自体はけっこうイケる。ただ、味噌汁の表面にマヨネーズの油分が浮かぶから、見た目で受け付けへん人もいるやろね」
彼女は
「こういう思いつきは外国人ならではかも」
と続けた。
「何でも、私たち日本人が味噌汁として飲んでいる味噌汁は、嫁さんが育った国の人にはあっさりし過ぎてコクが足りないと感じるみたいで。マヨネーズを加えたらちょうどよくなると話して」
ふうむ、、、。
味噌汁にマヨネーズねえ、、、。
私はまだ試したことはないが。
考えてみれば、今や国民食となっているカレーも、ナンではなく炊いた米の上にかけることにより、カレーの故郷インドのそれとは異なって異国の日本で発展してきた。
現在では、北海道から沖縄までのそこかしこに、その地ならではの食材をいかした「ご当地カレー」もあふれている。
これは、ひとえに、カレーが元々はアチラなものだったからではなかろうか。
「アチラなもの」だったからこそ、本場ならではのこだわりやプライドがない自由な発想で、味なり個性なりを追求出来たのだ、、、味噌汁にマヨネーズを入れた、仕事仲間のお嫁さんのように。
外国の人からみた日本の大衆食。
これは参考にしてよかろう。
「これはこうでなければならぬ」
という、思い込みに発展しかねない固定概念から抜け出すきっかけになるかも知れない。