ダイエットせにゃ

 平和堂篠原店での旭松の仕事から帰り、案の定、焼酎のお湯割りを手にくつろいでいる。

 鏡を覗くたび、太ったなあと、溜め息をつく。
 現在、身長160センチで体重47キロ。
 常識的に見れば全然太り過ぎではないのだが、もともと骨格がひ弱な、やせ型。
 はっきり言って、この体重はしんどい。
 身体が重い。
 私がもっとも調子がいい時の体重は45キロなのだ。

 試食販売の仕事に従事している人のほとんどが嘆く。
「この仕事を始めて、めっきり肥えてもうた」
 私も同じ。
 体重が5キロ増えた。

 原因の一つが味見。
 鍋ものやみそ汁などは刻一刻と味が変わるから、かなり頻繁に汁を味見する。
 この味見とやら。
 味がわかった時点で吐き出せばよいのだが、どっこい、人間はつい飲み干してしまうもの。
 つまり、三度三度の食事以外に余分なカロリーをずっととり続けることになる。

 二つ目はストレス。
 不特定多数の人に、担当商品を介してとは言え、短時間に接するということは、けっこうス
リリングなこと。
 価値観以前の問題として、言葉のあやや行き違いで、トラブルになりかけることはしょっ
ちゅう。
 そこを、こちらが下手に出ることで、回避する。
 たまるストレスから、過食や過飲に走るマネキンは多い。
 私は、飲む方ね。

 何より、現場の異常な冷え。
 真冬はもちろん、真夏でも拷問に等しい。
 身体を温めんと、ついハイカロリーと知りつつ、豚骨ラーメンやてんぷらうどんなどに手
が伸びる。

 まあ、好意的に
「今くらいが一番いいよ」
 とおっしゃる方もいるのだけれど。