糖分厳禁の夫の治療食を四苦八苦しながら考案し、それに付き合っているうち、あらら、私までもが以前ほどには糖分を欲しなくなってきた。
まあ、もともとアルコール常飲者ということもあつてか甘味はデザートやおやつにほんの少しとるだけで満足するタイプだったのだけれど。
プラス、肉やこってり系の食材は以前にも増して、口にしなくなった。
これも、胃腸が丈夫でないためか、もともと野菜と豆類を中心に動物性タンパク質は主に卵と乳製品から摂っていたから、まあ特別に変化したというほどでもない。
ただ、夫が癌を告知されて1ヶ月と少しの間に、気付いたことがある。
それは、ほとんどの人が調理の過程で味付けに手を加え過ぎている結果、素材そのものの味を殺しているということだ。
このことは、イコールで、糖分も塩分も油分も、そして栄養も摂りすぎということだ。
これは、例えば、素肌にあれこれ塗りすぎ却って肌が本来持つ蘇生力を弱めているのと似ている。
洗顔した肌は、健康な状態であれば、最低限の化粧水と乳液だけでじゅうぶん。やれ何とかクリームだの何とかジェルだの、保湿用化粧品を何種類も肌に乗せると肌はそちらに頼ってしまい、自力で蘇生しようとしなくなる。
食べ物の話に戻れば、次の3つに留意すれば、素材そのものの味をうまく引き出せることがわかった。
1、新鮮な食材を使う。
2、出汁をしっかりととる。
3、甘味が欲しい場合は麹をうまく活用する。
料理を含め、生活することは実験である。
実験を成功させるには、好奇心と情報力とコツコツと粘り強く物事に取り組む探究心、そして先入観にとらわれない発想力である。
写真は、麹(Wikipediaより)。