ハンドケア

 「おねえさん、可哀想な手をしているねえ」
 と、お客様に手荒れを指摘されてから、三週間前後が経つ。
 
 以前にも述べた。
 私たちの職業業のひとつ「冷え」も、防寒着やカイロの着用などにより、身体や足元にはある程度の対応が可能になった。
 なのに、業務の性質上、唯一、手だけは剥き出しにならざるを得ない。
 ここから、冷えが忍び込み、皮膚を渇かせ、荒れを助長する。

 美容関連の本に、荒れた手のケアに台所用ゴム手袋が有効とあった。
 手にハンドクリームやワセリンを塗って、よく刷り込み、台所用ゴム手袋をは
める。
 顔でいうパックと同じ効果が期待出来るそうだ。

 善は急げとばかりに、毎晩ハンドケアをはじめて、二週間以上。
 効果は……微妙。
 目の前にあるは、相変わらずしわくちゃだらけの魔法使いのおばあさんのような、我が手。

 それでも、あきらめず、せっせとケアに励む。
 美しい手は私たちの仕事において重要。
 試食品を手渡しする際、手は、時に口以上も商品を語ってくれるからだ。

 ハンドケア。
 他にもいろいろ方法があるはず。
 研究してみよう。