普通のスーパーでも、無塩や無添加、有機ものを扱い、専用コーナーを作ってくれたら。

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もう10年近く前になるか。京都府内の某店で無塩麺と減塩つゆの宣伝販売を担当したことがある。

 

「塩分過剰摂取が問題になっている昨今。さぞ売れるだろう」
と思いきや、さっぱり。試食品の味の評判も良くない(正直に明かしてしまうが、トッピングの鰹節でごまかしても、つゆも麺も美味しくない。味に締まりがないのよ。頼りないの)。


それでも、減塩つゆの方はポツポツと売れるけれど、無塩麺は全く。
もし、昼休憩に入る前に、5袋もまとめ買いしてくれたあのお客さんが現れなかったら、その日、無塩麺は売上ゼロだったことだろう、、、実際、商品購入者はその後も現れなかったしね。


そのお客さんは、タレントの堀智恵美が罹患したことで一般にも知られるようになったがんを患ったご主人を持つ方で、当然ながら、お客さんはご主人が退院した後も療養食作りに余念がない方だった。


「それまで食べていた食事が(病気のために)食べられなくなったのがかわいそうで。特に麺類。主人は大好きだったから。でも、うどんやお素麺なら、柔らかくしたら大丈夫。ところが、塩分がねえ、、、。口内に染みるみたいなんですよ。つゆは私が手作りして塩分をギリギリまでコントロール出来ても、麺自体には最初から塩分がありますでしょ、、、。無塩麺なんて、自然食品店でないと売っていないし、その自然食品店がうちから遠くて。だから、こういう普通のスーパーでも、少しでいいから置いて欲しいわ」。


ううむ、、、。がんが発生した部位こそ違え、同じ病を持つ家族を持つ身となった現在、このお客さんの気持ちはとてもわかる。


2人に1人はがんになると言われ、がんでなくても、食事療法を伴う成人病を患う人も増えている現在。一般の人が通うスーパーでも、無塩や無添加有機などの商品を扱い、さらにそれらを集めた専用のコーナーを作ってくれたら買い物もしやすくなってありがたいと感じるお客さんは、実は多いと思う。


写真は、1番上と真ん中の孫、2人と陶芸や粘土細工をする夫。ピンクのバケツに入っているのは、苔玉だ。


がんの痛みと独特の倦怠感に苦しんでいる時も、夫は土をいじっていた。
根っから、土を使ってカタチあるものを創るのが好きなのだ。


手術を受け、落ち着いたら、仕事と同じくらい夢中になれる苔玉作りと陶芸を存分にさせてあげて、静かに穏やかに暮らして行きたいと切に願う。

1枚のPOP(店頭広告)から考える〜その2

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昨日、POP(店頭広告)の話題を振ったので、もう1つ紹介しよう。


これは、2年前の我が拙ブログにも載せたのだが、こちらもイイPOPだと思う。
色合いやレイアウトなどのデザインがどうのこうのと言うのではない。見るお客さんの、自分でも意識していない深層心理を見事に掴み、いつの間にか購入に結びつけてしまう、その企みがニクイのだ。


ここは、比較的に高年層のお客さんが多い、極めて小ぶりな店。立地は住宅街のど真ん中で、いわゆる「私たちのかかりつけスーパー」。


時期は3月で、ほうれん草は、ぶっちゃけ、季節外れ。
そこで、販売担当者は考えたのだろう。


「60代以上のお客さんは、ほうれん草は秋のものと思い込んでいる傾向があるし、メニューも和食もの中心。
ここは、パンやパスタにもマッチする、そして春らしい軽快感があるレシピを提案し、売上に結びつけたい。もちろん、サッと作れるものでなくては」。


彼か彼女だかは、料理本をめくり、レシピを検索。
「こりゃエエ」
と、ピンときたものを選び出した。


私が評価したいのは、この後、彼か彼女だかが、これを整理し、わかりやすく、それも温もりのある手描きでまとめたことである。


皆さんは目にされたことはないか、ラップされた調理見本(恐らくそこで働いているパートさんが作ったのだろう)が、そのレシピを掲載している雑誌のページと共に、店内のそこかしこにディスプレイされているのを。


あれは、調理見本がよく知られているメニュー、例えばちらし寿司とかうな重(うな丼)とかならビジュアル的にも見栄えがしてお客さんに喜ばれるのだが、一般的でないメニューや初めて聞くメニューの場合は、お客さんにとってはまことに不親切なのよ。


だって、考えてごらんなさい。商品が入った買い物かごを下げたまま、高い位置から雑誌を読むのは不便でしょ? 字も見えにくいし。
それなら、お店の人の手で、字の大きさにも配慮しつつ易しく書いたものを、こちらと同じ目線で読ませて欲しいのだ。


読んでいると、作りたくなってこない?
そう感じさせた時点で、このPOPはもうじゅうぶんに仕事をしている。

1枚のPOPから考える。

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思わずシャッターを切った。
「私たちデモンストレーターも、このPOPみたいに、お客さんにバーンと語りかけないといけないな」
と。
先だって仕事で訪れた大型スーパーで、昼休憩中に店内で買い物をしていた時のことだ。


この手描きPOP。色合いはケバいし、ごちゃごちゃ感は免れないし、数字の書体からして安売りモードてんこ盛りだが、とにかくインパクトがあるよね。
「おっ。焼肉用の肉か。暑いし、週末やし、ホンマ、バーベキューもエエなあ。値段も3千円を切るんや。いっちょ買うたれや。1個では足りへんで。2個、いやもっと。余ったら冷凍したらええんやし」
なんて気分にさせるよね。


かつ、肉をカゴに入れた奥さんはこう言うだろう。
「お肉だけでは栄養が偏るわ。キャベツやピーマンなどの野菜も加えないと。おうちバーベキューは準備も後片付けも簡単だからいいわねえ」。
結果、青果の売上も伸びる。


販売は小手先のテクニックではない。お客さんの深層に眠るニーズを掘り起こし、情に訴え、
「ためしてみなはれ」
と、背中を押してあげる行為だ。

セカンドオピニオンを受けた結果、納得してがんの手術を受けます。

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(注)8月24日に書いた記事。

 

セカンドオピニオンを受けた結果、自分でも納得のいくアドバイスを得られた夫は、ついに手術を受けることとなった。
日時は、恐らく9月下旬。
執刀医からは、
「その日までに手術に耐える体力をつけておいて下さいね」
と言われた。


もっとも、この体力は手術しない道を選んでも必要だわなあ。
がん自然療法の書籍で、
「入浴し続け、その合間に玄米食を食べ、それだけで婦人科系のがんを治した」
と語る人の体験記を読んだことがあるが、温泉療法というのも公に認められているから、これは本当の話だと思う。


ただねー。
皆さん、玄米食はさておき、一般にお風呂に長時間入るのはかなり疲れる行為だと思いません?
つまり、くだんの彼女はそのことに耐えられるだけの体力を、年齢的にも持ち合わせていたのだ。


理論の上では間違っていなくても、いざ自分の身に照らし合わせてみると、実際には不可能なこと、この世にはある、、、残念ながら。


なお、体調不良に悩まされる時でも、夫はろくろをまわすことと苔玉を作ることは毎日欠かさなかった。
聞けば、土を使って何かを作っていると痛みがやわらぎ、時に我を忘れるんだそうな。
なるほど、土から芽を出した草を煎じた漢方薬が身体にマッチする理由もそこいらにあるのね(よって、夫は手術は受けても、その後の抗がん剤治療や化学治療、及び放射線治療は拒否するつもりでいる)。


数多くの優れた紀行文を執筆したイギリスの探検家、イザベラ・バードも、ある医師に勧められた転地療法を繰り返しているうちに丈夫になり、病弱ゆえにあきらめていた結婚も手に入れた。


人は1人1人違う。
何療法でも、自分に合った治療を受けたら良くなる可能性は、誰しもが持っているだろう。


写真は、真ん中の孫に陶芸用の土で粘土細工を教える夫。

それががんです。

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(注)8月23日に書いた記事。

 

8月21日。西大和(奈良県西部)にある大型店での仕事を終え、行き同様に2時間半かけて帰宅。


キッチンのテーブルに座っていた夫を一目見るなり、
「え?」
と、目を見張り、ついで茫然とした。


たった1日で、別人のように弱った夫がそこにいた。表情は平板で、声にも張りがない。聞けば食欲も全くなく、昼も夕も固形物はもちろん、豆乳やスープすらの液体ものですら内臓が受け付けない。
「これではいけない」
と、昨日のうちに私が特性スープと共に用意していた、「かぼちやの煮物」(甘味は麹を使う)と「きゅうりとわかめの酢の物」(砂糖なし。レモンなどの柑橘系果物の果汁を足し、ゴマを加えることで風味を出す)を無理やり口に入れたが、
「味がしなかった」
と言う。


そして、
「(温まると肛門奥に出来たがんの痛みがなくなるので)もう1度風呂に入ろうかと思ったけれど、その気力もない」
と早々に2階にある寝室にこもってしまった。


「今朝、私が出かける時までは普通に食べていたし、朝の散歩に出かけるくらいの力はあったのに」。
ショックを受けた私は、
「夜分、ごめんなさい」
と、消化器系のがんを患ったことがあるご主人を持つ仕事仲間にメール。10分と置かずに返信がきた。
「それががんです」。


「ただし」
と、彼女は続けていた。
「急転は悪い方にばかりでなく、良い方にもあるから、あまり症状の変化に一喜一憂し過ぎないように」。


彼女のご主人の場合、抗がん剤の副作用か、服用後の吐き気と下痢がひどく、体力を削がれて食事も喉を通らなくなったほど。肝心のがんの症状自体も一向によくなる気配がない。
「こんなに我慢して治療に取り組んでいるのに、なぜ?」
苛立ちと苦しさのあまり、ご主人は奥さんである彼女にたびたび当たった。それが、ある日とつぜんにその吐き気と下痢がおさまったと言う。
「もうストーンと。昨日までのあれは何だったの? こんな感じで」。


ふうん、、、。


半信半疑はまだ消えないながら、そういうこともあるのなら本当にいちいち落ち込んでいてはいけないのだと胸に刻み、セカンド・オピニオンでの2度目の診察も受けた現在、また最初にがん告知をされた病院に、夫と来ている。


ちなみに、今日の夫。昼食にグルテンフリーのワッフルを2枚も食べ(それもコーヒーといっしょに)、玄米がゆもお代わりしたほど、食欲は旺盛だ。


写真は、1番上の孫と真ん中の孫。

身近にいる大切な人が少しずつ弱っていくのは、自分の病より辛い。

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(注)8月21日に書いた記事。

 

これは、8年前の2014年の今日、奈良県橿原市にあるAコープ(昔の農協ね)に、エバラのプチット鍋を宣伝販売する仕事に行く途中で写した写真。


ふと、感傷にふけってしまった。
我がささやかなプランターのこと。


昨年と違い、今年はマリーゴールドと共にひまわりがさっぱり。百日草や日日草は花盛りなのに、、、と残念がっていたら、何とお盆明け、時期外れでひまわりが咲き始めたではありませんか!


ひまわりだよ!
ミニひまわりじゃないんだよ!


身近にいる大切な人が、必死の治療努力にもかかわらず、指の隙間から砂がこぼれ落ちるように弱っていく。


このことに、本当はそうであってはいけないことを知りつつ、すっかり気落ちしていたが(うん。自分が病んだ時やり辛い)、まだまだあきらめてはいけないね、先だって受けたセカンド・オピニオンで希望が見えつつあるし。

 

療養食が必要な家族がいる場合、連続遠方勤務は無理。

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(注)8月20日に書いた記事。

 

明日は仕事。歩く距離を入れれば片道ざっと2時間半はかかる、奈良県の某大型スーパーに行く。


問題は夫の食事。
以前にも記事にしたとおり、高校生の時から自炊かつ飲食店の厨房でアルバイトをしていた夫は料理はお手のものなので、本来なら私が1日や2日どころかそれ以上キッチンに立てなくても何ら問題はないのだが、それは夫が健康な状態であっての話。現在は違うからねえ、、、療養中であるからにはそれ用の食事が必要で、これが、手間も暇もかけねば作れない。


炒めたタマネギに、カボチャやらゴボウやらニンジンなどの根野菜スライスとベジロス(野菜のヘタや芯その他の食べられない部分を集めておいたものを30分以上もグツグツと煮て濾した、贅沢な野菜出汁)を加えて煮込み、ミキサーにかけてペースト状にして豆乳で伸ばす特性スープ。
病んだ人に
「私がいない時は自分でお願い」
なんて、言えますか?


他にも砂糖なしの三杯酢なり煮汁なりで作る料理は味が染みるまでに時間を要するので、夕食に食べるためには遅くとも昼食後すぐに調理にとりかかる必要がある。


まあ、作り置き出来ないことはないが、味と調理器具の容量の面で限度があるわなあ。


こう考えていくと、今後は私の仕事にも影響が出てくるだろう。
事実、現段階でも2日連続の遠方仕事はもう無理だもの。


いろいろと考える。


でも!


こういうフレキシブルな事態に対応出来るのも、デモンストレーターならではよ。


どうこう言っても、まだまだ家庭の状況に公私ともども左右されやすい日本女性。
その点、日雇い身分ではあっても、この仕事は対応しやすいのが利点。


写真は1番上の孫(9歳)。